シンパパが「甘々と稲妻」を読んだ感想を語ってみる

漫画

こんばんは,ぱちタロウです.

本日は,知り合いの方にお借りした甘々と稲妻という漫画の感想を語ります.

ちなみに,この作品はアニメ化もされているくらい有名な作品みたいです.

※僕はアニメを観ておりませんし,漫画をお借りするまで存じ上げておりませんでした

あらすじ

この作品は,高校の数学教師であり,シングルファーザーとして過ごす犬塚公平と,その娘で幼稚園に通うつむぎ,そしてあるきっかけで犬塚父娘と定期的に料理(=ごはん会)をすることになった公平の教え子の飯田小鳥を中心に描かれる,父子家庭の日常と料理を題材にした雨隠ギド先生の代表作です.

感想(ネタバレなし)

まず,本作品第1巻の1ページ目を開いて感じたのが,あれ,この絵…どっかで見たことあるなでした.

そこから何ページか捲ると,ヒロイン(?)の小鳥ちゃんが出てくるのですが…どこかの野球漫画の監督っぽいんですよね←

そして,巻末を確認すると,アフターヌーンKCの文字…

↓ちなみにこの漫画のことです↓

そんなことはどうでもよくて,正直この作品の第1巻を読み終えたときの感想は,あまりいい印象はなかったんですよね.

あらすじで申し上げた通り,妻を失った父(公平)が娘(つむぎ)との絆を,教え子(小鳥)と作る身近な家庭料理を通して深めていくというストーリーなんです.

そもそも設定がマイノリティ…

まず気になったのが,この作品は父子家庭を題材にしているわけですけど,父子家庭の割合ってみなさんご存知ですか?

2015年の国勢調査では,一般世帯の5,300万世帯に対して,父子家庭は8.4万世帯(0.16%)らしいです.

母子家庭は75万世帯(1.42%)らしいのですが,それを加味しても2%未満…

つまり,そもそもこの設定自体がマイノリティなんです.

父子家庭の父親である僕としては,漫画とはいえ,その辺はちゃんと描いてくれるのか?なんて気になってしまいました.

そんな不安をよそに,突然訪れる教え子(小鳥)との非現実的な出会い…正直,第1巻を読んだ時点では全然作品の世界に入り込めませんでした.

パターン化されている構成

また,この作品はほぼ毎話,「日常(トラブル)を描きつつ,それを料理(を作ること)を通じて解決」という構成なんです.

つまり,1話毎の流れが決まっているんですね.

もう少しわかりやすくアンパンマンで例えると

  1. バイキンマンが悪さして…
  2. それに困った人が「アンパンマーン!!」と叫んで…
  3. アンパンマンが駆けつけて…
  4. 頑張って戦うけど,ピンチに陥って…
  5. それを助けに来た人たちがアンパンマンの顔を投げて…
  6. 「元気100倍」からの,最後は「アンパンチ!!」

みたいな流れがありますよね?

この作品はざっくりいうと,毎話そういう流れにそって物語が展開されます.

しかも,扱うのはマイノリティな父子家庭とはいえ基本的には父娘の日常ですから,まあ割と地味なんですよね.

なので悪い言い方をすると,父子家庭の日常を描きつつ,それに見合う料理をワンパターンに作っているだけの作品なんです.

非現実的な調理過程

恐らくそんなワンパターンなマンネリを解消するために,家庭でも作れる範囲の料理を選択しつつ,色々な調理方法を紹介しているのだと思います.

第1話の土鍋でご飯を炊くなんて,インパクトが大きいですし…

ただね.

僕からすると,(少なくても序盤は)あり得ないほど手間をかけて料理しているんです.

例えば,娘(つむぎ)が風邪を引いてしまう回では,昆布と鰹節から出汁を取るんです.

それを読んで,出汁から取るなんて本格的だなーとかさすが小料理屋の娘だなーという感想でなはく,なんでこんな面倒臭いことやっているんだ?と思ってしまうんですよね…

なぜなら,料理をするのは,基本的にド素人の父(公平)なんです.

しかも,父である公平は仕事が忙しく,妻が亡くなってから半年もの間,娘であるつむぎの食事を出来合いで済ませていた人なんです.

更に,公平自身が,自らを食に対して興味が薄いと言ってます.

もし僕が料理への興味が薄いとして,いきなり土鍋からお米を炊けと言われてもはあ?って思いますし,餃子の皮を一から作れと言われても,おおー!とはならないと思うんです.

むしろ,手軽で栄養が豊富な料理を教えてくれ…と思うんです.

(序盤に,からあげやドーナツといった油で揚げる料理が出てきた際に,僕は片付けが面倒臭そうと思いながら読んでました)

日常と登場人物の心情の描写が丁寧でリアル

ただ,この作品を読み進めると,娘(つむぎ)の日常と,それに奮闘する父(公平)の描写は,妙にリアルで他人事とは思えないんです.

もちろん父子家庭の日常といっても,大部分は普通の家庭とそれほど変わりません.

例えば,娘(つむぎ)が苦手なピーマンに対して,美味しく料理をしたいと思う親(公平)なんて,父子家庭とか関係なく,どこの家庭でも同じだと思うんです.

父子家庭ならではの問題もきちんと取り上げてくれてはいますが,その辺は無理に誇張せず,あくまでも一般的な家庭である悩みの延長線上といった,いい塩梅で描いてくれています.

そして,そんな日常や,それに関わる登場人物の心理描写を丁寧に描いてくれているお蔭で,読み進めているうちに共感できてしまうんです.

あるときは娘との日常に幸せや罪悪感を感じる父に…,あるときは自分や友達との間に起こったトラブルを背負いこんでしまう子どもに…,またあるときは思春期特有の悩みを抱える高校生に…,と言った具合で共感ポイントが多いのが魅力だと思います.

飯田小鳥の存在感

また,日常を扱うが故の地味さについても,工夫がされていると感じました.

教え子の小鳥は,年齢的にも父(公平:年齢不詳)と娘(つむぎ:5歳)のちょうど間くらい(登場時点で高校1年生)で,しかも幼い頃に両親は離婚しており,シングルマザーの母に育てられたという生い立ちです.

娘のつむぎは,いかにも5歳の女の子らしく,ときに可愛く,ときにずる賢く,ときに大人びているけれども,子どもであるが故に自分の気持ちを上手く表現できないんです.

(実際には,あんなにモリモリ食べてくれませんけどね)

一方で,父である公平は,そんな娘(つむぎ)が大好きながらも,対応に困ったり,伝え方に悩んだりするわけなんですが,この父と娘の関係性も妙にリアルで説得力があります.

そんな2人を上手く繋いでまとめてくれるのが,父と娘の両方の気持ちがわかる飯田小鳥なんです.

そんな小鳥の存在が,地味な設定の作品に良い非現実感を与えてくれており,そのお蔭で父娘の関係性が(読者として)すんなり受け入れられるんだなと感じました.

(実際にこんな理想的な父娘の関係って…ないです笑)

感想まとめ

単純に面白い作品だと思います.

幼少期の子ども,思春期の学生,そして子を持つ親という全然異なる立場で,それぞれの心情が丁寧に描かれているからこそ,共感できるポイントが多く,いつの間にか没頭できる作品です.

また,美味しく料理を食べるつむぎちゃんの表現がすごく上手であり,これをきっかけに料理をしてみようと思う人は多そう…

それくらい登場人物の感情や表情をしっかり表現してくれている作品です.

加えて,シングルファーザーの方なら,今当たり前に過ごしている子どもとの時間を見つめ直す良いきっかけになるかもしれません.

意外と子どもの話を聞いていなかったり,親側が素直に謝ることができないなんて,大部分の親が当てはまるのではないでしょうか?笑

感想(ネタバレ含む)

ここからはネタバレを含みますので,ご注意ください!!

この作品に限らず,こういう日常ほのぼの系の作品を読むと思うんですけど,結末をどうやって持って行くのか?ってすごく難しいと思うんです.

例えば,高校野球が舞台の漫画なら,結末は主人公が高校三年生の夏なのかなーって予想できます.

でも,この作品は結末をどこに持ってくるのか予想が難しく,第1巻を読んだところからすごく気になっていました.

ただ,シングルファーザーの観点から,できればここまで書いて欲しいなーという部分があったんです.

それは,娘であるつむぎが家を出て行くタイミングなんですね.

シングルの方なら理解できる方が多いのではないかなと思うのですが,子どもが巣立つタイミングを考えたときに,子どものことはもちろん,親である自分のことも不安に感じるのではないかと思うんです.

ただでさえ,シングルという家庭に多少なりとも負い目を感じているのに,子どもが巣立つときにちゃんと背中を押してあげられるのか?とか,自分の存在が子どもの夢の邪魔をしていないのか?など…

実際に,僕もその辺りが不安で婚活をやっているわけですが,この作品はそういったシングルの親が漠然と抱えていそうな不安な気持ちを,丁寧かつ上手に表現してくれているんです.

また,親の気持ちだけではなく,娘であるつむぎの成長やそれに伴う気持ちの変化を,父親である公平や小鳥,そして周りの人たちと料理を通じて,上手に表現されてます.

正直,第8巻の運動会で,つむぎがかっこよく走るシーンと,その後の空を眺めるシーンは,表現力が高すぎて涙が出てきました.

また,第9巻からの,日常が徐々に…だけれど,でも確実に変わっていく雰囲気がすごくドキドキしました.

もし娘に再婚の話をされたら…と考えながら読むのは耐えられませんでした←

でも,第11巻から第12巻にかけての話は,本当に素敵なので是非読んでみてください.

この作品を読んで変わったこと

僕自身,料理は割と好きなんですが,それでもやっぱり作業の域は出ないんです.

ましてや,我が家の場合,娘が非常に少食なんで,食事の時間って,どちらかというと我々親子にとって嬉しい時間ではなかったんです.

でも,調理を通して,食に興味が出ることもあるのかなーなんて思い始めて…最近は娘に手伝ってもらいながら料理をしてます.

基本的には,これまで同様,朝にある程度調理をしているのですが,帰宅後の仕上げを娘とやってます.

執筆当日はオムライスだったんですが,チキンライスはあらかじめ作っておき,サラダの盛り付けと卵の調理を娘と行いました.

(まあ娘はオムライスが苦手なんで,代わりにカレー食べたんですけどね←)

ただ,それをきっかけに,娘が料理を手伝いたいって言うことが増えたので,そういう意味では我が家の生活スタイルを変えてくれました笑

↓そしてこの包丁を娘に買い与えました笑↓

ご拝読ありがとうございました.

↓今回ご紹介した作品はこちら↓

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